【書くこと⑥】フットワークを軽くするには

 文章を書けない、というスランプに陥っていた頃、私は書けなければ書けなくなるほど「書かなくては」という強迫観念が強くなり、心も体も固くなっていました。一時は脳の病気なのではないか、と真剣に通院も考えました。

 

 今なら判りますがその気負い、過剰なプレッシャーこそが問題の原因だったのです。

 一流のアスリートは大きな大会でもリラックスして実力をだせるようにメンタルトレーニングを受けます。ハリウッドの演劇学校ではリラックスして演技に集中することを学ぶといいます。

 なぜなら人間は気負えば気負うほどパフォーマンスが悪くなってしまう生き物だからです。

 ある時、ひょんなことから私はこのことに気が付きました。それからしばらく経って、徐々にではありますが、文章を書く力が戻ってきたのです。

 完璧主義的に物事を始めたり、成功しなくてはならない、と過剰に自分を追い込みすぎると緊張して動きにくくなります。

 実のところ私自身、フットワークが軽くなっている時は、「ダメで元々」という感覚でいることがほとんどです。

 ある程度の緊張感は日常のスパイスにはなりえますが、もしもあなたが今何かを始めようとして手に付かないのであれば、「ひょっとすると自分は必要以上に気負いすぎているのではないか」と疑ってみるのも有効な打開策になるかもしれません。